高水三山
岩茸石山山頂

奥多摩の入口にある海抜700m代の高水山、岩茸石山、惣岳山の三山は、青梅線軍畑駅を起点とするひとつ続き のルートで結ばれ、高水三山という名のハイキングコースとして知られています.

三山の中で、展望が良く広い山頂を 持つ岩茸石山793mが実質的にその目的地となっていることから、常福院のある高水山側から入って、この岩茸石山 を目指し、帰路惣岳山に立ち寄り御嶽駅へ下山する行程を組むのがもっとも一般的です.

低山ゆえに、四季いつでも容易に歩けますが、冬期には低山とはいえ積雪後は凍結していることもあるので、その ような時にはそれなりの装備が必要となり注意が要ります.

残念ながら、三山のコースは植林部分が多く、四季の変化を楽しみながら歩くには、やや物足りないも のですが、岩茸石山の山頂部分はいくらか自然林が残されていて、新緑と紅葉の季節には楽しみが増します. また、この山頂は眺望があるので、空気が澄み、木々の葉がなくなって視界の広がる冬期の登山も楽しめます.

軍畑を起点に登る場合が圧倒的に多いと思われますが、この三山コースの出口となる御嶽駅から 逆に辿るのも、軍畑駅から歩く場合と時間的にさほど変わらなく容易です.他には、高水山の北東、上成木から高水 山へ登る参道コースがあって、東青梅駅より都バスを使ってアプローチすることができますが、 やはり駅からスタートし駅で終わるのが、この三山の魅力ともいえ、こちらを使う人は限られているようです.

岩茸石山のすぐ北にある名坂峠へは大丹波側成木側のいずれからも登山道があり、岩茸石山に直接登るル ートとして使えますが、アプローチにバスを利用しなければならなく、三山すべてを訪れたい場合には、高水か惣岳 のいずれかを往復する行程になることから、登山路としても下山路としても利用されることは稀です.

この名坂峠から北へは、黒山を経て棒の折山へ歩道がつながっているので、高水―棒ノ折の縦走コースとして、歩 くことができますが、けっこう距離があることから健脚向きといえます.

成木ルート 参道


青梅市北部、飯能市との境界近くに上成木集落はあって、成木川に沿って家々が建っている.上成木バス停は 小沢峠を基点とした黒山経由棒ノ折山の登山口としても使われ、都バス成木循環が東青梅駅より運行されているこ とから、山間部とはいえ比較的アプローチしやすい場所である.このバス停のすぐ近くに高水山常福寺への表参道 が始まり、よく踏まれた歩道によって高水山に登ることができる。

さすがに、青梅線を降りてそのまま歩き始めることのできる軍畑に比べれば不便であるし、その歩道に特別 な魅力があるわけでもないが、同じルートでいつも登って飽きがくるころ、そのバリエーションとして知ってお くと良いルートといえるかもしれない。

都バス成木循環の終点である上成木バス停のすぐ西に、林道なちゃぎり線の入口があり、沢沿いに進むこの車 道をたどることになる。歩道入口の表示があり歩道に入れば、ほぼまっすぐ進む歩道は意外に急であるが、参道 でありときどき現れる道標を確認しながら登っていけば、再び車道に出て、このすぐ上に常福寺の山門がある。

林道なちゃぎり線 バス停のすぐ先から始まる、林道なちゃぎり線.
鳥居 まもなく参道の入口があり鳥居をくぐる.
成木入口 林道なちゃぎり線の途中にある参道の入口.
成木 高い木立の下参道は続く.
常福院山門 常福院山門

成木ルート


岩茸石山の山頂から5分ほど北に下ったところに名坂峠があり、ここへは丹波川側から植林中を登っ てくるルートが合わさっている。東側の成木に下るルートもここで分岐しており、1時間ほど下れば上成木バス停に着くこと ができ、下山路として重宝する。

峠を後に林中の急な下りを降りると、沢に沿った緩い下りのルートがしばらく続き、尾根の植林中を進む他のルートとやや 趣が違う。切石、篭石と路傍に岩が現れ、その先橋で右岸に渡る。さらに下っていくと水道の取水堰堤が出現し、浄水場の建 物の脇をとおり車道へ出る。

車道に出れば、そこには民家がならび、そこに住む人々の生活道路を歩くことになる。民家の前を成木川源流の流れが水音高く流れ ていて、その脇に車道が続いている。前に小沢峠にあがっていく道路が現れ、車道は右手に折れていくと、上成木のバス 停に出た。

成木 このルートの大部分は沢沿いを進む.
切石 路傍にある奇岩、切石.

軍畑ルート

高水三山、駅から歩き出せるアプローチの良さゆえにこのコースはハイキングの対象として重宝するよ うで、休日の青梅線がこの軍畑駅に着くと、ぞろぞろと集団でおりていく山行者をよく見かけ、その先には、 御嶽山や高尾山のような行楽地化した山を私は思い浮かべていました.

そのためか、あえて登ってみようとも思わなかったのですが、さすがに冬季となれば人影もまばらな静か な山になっているはずで、行楽客が少なそうな年の瀬を迎えた休日に、私は初めてこの低山に登ってみるこ とにしました.

奥多摩入口の山、植林の中の歩道にも、さほど高くなく達成感を感じるような山頂でもないのは確かです が、予想外の収穫ともいえたのは、岩茸石山の山頂は眺望があり、近辺の川苔山、棒ノ折山をはじめ雲取山に いたる奥多摩の山々が見えたことで、それ以後手軽に出かけられる奥多摩の展望台として、よく通う山となり ました.

高水山

JR青梅線が、平溝川の谷を跨ぐ鉄橋を渡り終えると軍畑駅.駅を出てすぐ東にある踏切を渡り、平 溝川の谷筋に下る道を辿ると、榎峠を越えて小曽木に向かう都道に出る.しばらくこの都道を歩き、平溝 橋で、左に分かれていく平溝通りに入る。

一旦平溝川を横切って進むと、次の高源寺橋には歩道入口を示す道標が立っていて、右側にある登り勾 配の道に入ると、橋の名になっている高源寺はそのすぐ上にある。

舗装された急勾配の車道を登っていくと、民家もなくなり車道が終わり、植林中の歩道が始まる。堰堤 を越え、沢沿いに進むと沢を横切って、ここから支流の谷に沿って登山道は西に向かって登っていく。 ここを登り終えれば、高水山から東南に延びている尾根の上に出て、稜線に沿ってに北西に向かうように なる。成木の林道から来るルートが合わさり、左に折れていくと林道が下に見えてきて、常福院の前に出る.

軍畑駅を出発してから、この常福院まで1時間ほど、このコースの登り部分は大方終わってしまった感じで、 あとはピークを縦走して下るだけの行程となる.山門を入り、庭の南側に続く登山道を登れば、すぐに高水山山 頂に着いてしまう。山頂の手前には見晴らしの良い場所があって、玉川南側の山々から、眺望の良い季節には、 丹沢まで眺めることができる。これから向かう惣岳山があり、その背後の多摩川南岸には、御岳山や大岳山の姿 がある。さらに遠くには丹沢の山々が作る稜線が、逆光で壁のようにたっているのが見える。丹沢の山々を遠望す る時、私はよく目立つ3つ並んだ三角形を探す。丹沢の三峰で、あとはこれとの位置関係でピークを同定していく ことは容易だ.

手前の稜線に目を向けると、多摩川南岸の尾根を真横からみることになり、八王子側に向けて送電線が尾根を 越えていて一列に並ぶ鉄塔で確認できる。この送電線とは違う場所に鉄塔が2つあって、これらは中継所のア ンテナであって、左は梅ノ木峠のもの、右は大塚山のものである。

それらの間に、日ノ出山と御岳山があって、日ノ出山は半円形の容姿と山頂に並ぶ木々、双眼鏡で見れば山頂の あずまやも見える。御岳山は、その背後に大岳山があって、特徴的な姿のこの山との位置関係でだれでも見い出す ことができるはずだ.大岳山の右に少し離れてごつごつとした御前山も見えている.

高水山の展望はここくらいで、肝心の高水山の山頂では木々に囲まれている。急な下り坂となり、北側を巻いて きた道が合流し、岩茸石山との間にあるピークを巻く。

高水山からの遠望 大岳山日の出山
上:大岳山と御岳山.
下:日の出山.背後の山並みは大岳山から続く馬頭刈尾根の峰々.

岩茸石山

山頂へ向かう分岐に出た。前方の急坂を登ればその上は岩茸石山山頂で、左は 巻き道であって山頂によらず惣岳山に向かうことになるが、高水三山に来た人でわざわざここを巻いていく 人はいないことだろう.

岩茸石山は高水三山の主峰ともいえる存在感のある山で、急なのぼりを息を整えながら登れば、三角点の 標石がある山頂部に出た.ここの標高は793メートルにすぎないが、南側は木々の並びで視界がさえぎられ てしまうが、ほかの方角は眺望を楽しめる.

北は、棒ノ折山とその手前にある黒山が見えている.棒ノ折山には特に際立った特徴はないが、東南の尾根 の末端から順に稜線を追っていくことによってその位置を確認できる.この稜線は、小沢峠から成木川北側に続 く尾根であって、以前私が棒ノ折山に登ったときにはこの上を歩いている.そこからも、今立っている岩茸石山 の姿も見えていたのかもしれないが、はっきりした印象は思い出せなかった.

その時、黒山の山頂では、岩茸石山北側にある名坂峠を経て北西に縦走していくルートが合流していたのを 覚えていたが、このルートをたどれば棒ノ折山もここから2時間ほどでいけそうだ.

棒ノ折山は長沢背稜から続いてきた県境尾根の東端部といえ、この稜線は多摩川水系北の垣根ともなっている. 棒ノ折から日向沢の峰に続くこの垣根南側の直下に大丹波川は深く切り込んだ谷を作っていて、その南西にある ピークが川苔山のものであることは一目瞭然である.

そこから南にぎざぎざのある鋸尾根があって、目を送って いくと、急激に高度を下げる大ダワに達する.この窓越しに、東京都の西端、最高地点でもある雲取山が見えて いた.その南にある台形の本仁田山はどの方角から見てもその台形の容姿は変わり映えしない.奥多摩ではみ つけやすい山のひとつだ.

展望 展望 岩茸石山の山頂は東から北が開け展望がある。上は東側、尾根の先にあるのが高水山で、その先は青梅市の北部から 飯能あたりから、平野部の西端である狭山。下の写真は北側で黒山から棒ノ折山へ続く尾根と、 その背後に雪をかぶった有間山あたりの稜線が見えている。

惣岳山

本日の最終目的地、惣岳山は、山頂に青渭神社が建ちその周囲は社を取り巻く木々に覆われて、展望の 魅力に乏しい.岩茸石山山頂を出発する.山頂の西側から下りはじめると、このピークを巻いていた 植林内の巻き道と合わさって歩道は南に向かっている.

尾根の東側に出たあたりは、平溝川の谷は大きく伐採されていて、東北東には山頂にアンテナが立つ高水山の 山頂が見えてくる.さらに進むともう少し西側も見えるようになり、岩茸石山も見えるようになった.

尾根の西側に出たところでは、多摩川の流れる谷の展望が開ける. 歩道から右手に分かれた道の先には展望台がありここに立つと、大丹波川をはさみ、本仁田山と川苔山の よくみえていた.

惣岳山の山頂への急登を終え、四方を木々に囲まれた薄暗い山頂には、金網で厳重に囲 まれた青渭神社が建つ.山頂に建っているとはいえ、社のつくりは立派なものだった. しかし、金網越しとは哀れな限りだ.

御岳駅に向かい下る.ここは神社の参道でもあるから、しっかりした道が続く. 杉の大木の下に井戸があり、木の間には縄が張ってあった.小さな送電線の鉄塔を越えると、沢井方面の 分岐に出た.

道標に書かれている距離では300mの差しかないので、すぐ前のピークを越す 急坂をのぼらずにすむ川井に降りようか迷ったが、予定していた通り、まっすぐ御岳側に向かうことにした.

多摩川に沿う沢井あたりの家々が、前方に見えるあたりまでくると、川のせせらぎや車の行き来する音も聞こえてくる. 下っていくと慈恩寺の脇に出る.そのすぐ前の青梅線の踏み切りを渡れば青梅街道に出た.ここを右折、すぐ先に御岳駅はある.

川苔山 岩茸石山の山頂からみる川苔山.大丹波川を挟み西には川苔山がある.正面の2つの尾根を分けている谷は真名井沢で、その南側は登山路のある赤杭尾根、 北側は真名井沢北稜でありその付け根に真名井沢の頭がある。沢の突き上がったところにあるのが曲ヶ谷の峰で、その背後には 川苔山の山頂部が見えている.
登山口 高源寺橋脇には、三山登山道の入口がある.
skytree 高水山東南の尾根の一部分は近年伐採されていて、平野側の眺望が得られる。空気の澄んだ冬の日であれば 都心のビル群や一際高いスカイツリーの位置は容易に同定できる.
View 樹間にわずかに展望があり、多摩川沿いを展望できた.
高水山 高水山山頂部
御前山 御前山.
岩茸石山山頂 岩茸石山山頂 三等三角点のある山頂.
棒ノ折山 奥多摩、そして奥武蔵の山でもある県境部に位置する棒ノ折山.岩茸石山からも、成木川源頭にある黒山を経て 縦走するルートがある.
鋸尾根と雲取山 川苔山から本仁田山に続く縦走路が通る鋸尾根が落ち込む大ダワを通してその先には雲取山が見えている.
岩茸石 岩茸石山を出発すると、まもなく山頂巻き道を合わせ樹林中の歩道が南の惣岳山に向けて続いていて、樹林の切れ目から岩茸石山が見える. 惣岳山(高水山山頂手前より).背後に大岳山と御前山がみえている. 本仁田山 本仁田山は川苔山の南に位置し平らな山頂部が特徴的.右肩の端、手前から尾根が登っていっているのが瘤高山で、鳩ノ巣駅から 大根山の神を経てこの尾根を登るルートがある.左背後に見えているのは石尾根の鷹ノ巣山.
青渭神社 惣岳山の山頂は、木々に囲まれ青渭神社の社殿が建つ.
分岐 沢井駅方面の分岐.左に折れるとすぐ車道に出ることができるが沢井駅はまだ先だ.右に折れ丹縄に出ることもできるが、 青梅街道に出てから御岳駅まで車道を歩くしかない.よって、まっすぐ進み御岳駅に出るのが普通だ.
沢井沢井方面を見下ろす.

名坂峠ルート

岩茸石山の山頂すぐ下に名坂峠はある。ここで、大丹波川沿いの八桑から登ってきた歩道と上成木からの歩道が黒山 に向かうルートと合わさっている。

岩茸石山に登ることを目的とした場合、青梅線川井駅からバスが利用できる八桑から のルートは最短となるが、山頂を後に南の惣岳山を経て御岳駅に下山するか、東の高水山に向かい軍畑に下山することの いずれかになり、どちらか往復しない限りは三山をまわることはできず三山縦走を目的とする場合にはやや不適なコース といえるだろう。

JR青梅線の川井駅から青梅街道へ出て大丹波川を渡るとそこにバス停があり、上日向行きバスに乗り八桑バス停で 降りる。バス停のすぐ手前で分かれている車道が八坂峠へ向かう登山ルートの入口で、急さかを登っていく と、しばらく細い車道が続く。

ガードレールのついた橋で沢を渡る。歩道の登り坂が始まり、植林中の登りを繰り返すと やや東向きに進むようになって前方にピークが見える。もう峠はすぐで、バス停を出発してから45分ほどで早くも名坂 峠に達してしまう。

峠から南へ進めば、そのすぐ上には岩茸石山の山頂があって、山頂で腰を下ろしたハイカーの話声がここまで聞こえ てくるほど近い。

八桑 名坂峠
秋の高水三山
高水山 岩茸石山 岩茸石山からみた高水山(2010年11月).
iwa 小沢峠側から見た岩茸石山.
惣岳山 惣岳山.私が訪れた時には、すでに紅葉はピークを過ぎ、山々のまだらは茶色にとなっていました.2002年11月撮影
map
course time 軍畑ルート:JR青梅線軍畑駅 20分arrow 高源寺(登山道入口) 10分arrow 堰堤の上 25分arrow  常福院 5分arrow  高水山山頂 5分arrow 巻道合流 5分arrow 岩茸石山分岐 5分arrow 岩茸石山山頂 10分arrow 巻道合流 10分arrow  見晴台 5分arrow 惣岳山 山頂 25分arrow 沢井分岐 25分arrow JR青梅線御岳駅
他ルート:大丹波川側から名坂峠を経由するルートが利用できるほか、棒ノ折山から黒山を経て縦走するコースもあり.
軍畑駅
軍畑ルートの起点となる青梅線軍畑駅.
奥沢橋梁
平溝川を渡る青梅線の奥沢橋梁
bus
成木ルートの起点上成木バス停へは都バスが運行されている
交通機関
往路:JR青梅線 軍畑下車(軍畑ルート)JR青梅線 東青梅(成木ルート)JR青梅線 川井 (名坂峠ルート)
帰路:JR青梅線 御岳駅 JR青梅線 沢井駅
maps
1/25000地形図:奥多摩湖
登山用地図:山と高原地図 23 奥多摩 2009年
      ヤマケイ登山地図帳7 川苔・御岳・高尾
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