白藤の滝 白藤の滝
 岡部町より流下する朝比奈川を合わせ、焼津港のすぐ東で駿河湾に掃出する瀬戸川、両河川のほぼ真中、 藤枝市東北部から、市街地の東縁を流れているのが葉梨川である.この葉梨川の上流、朝比奈川との分水域である藤枝市の東北部の北方(きたかた)に、この白藤の滝がある.
 20年ほど前までこの滝はほとんど知られていなく、案内標識も一切なく、地形図にも滝の印は載っていなかった.私は地元で聞いた道筋にしたがって北方の安楽寺前から始まる 農道を登り農作業用の歩道を辿って、初めてこの滝に達することができた.この時、白藤沢側に出た山中で、その姿を発見し慌てて下ったが、滝の前の歩道を歩いていたにもかかわらず滝を見過ごし、しばらく 先まで歩いて初めてそのことに気づきもどってきた.山の奥まったところに奇妙なほど閉鎖的に存在している白藤の滝の魅力にそれ以後取り付かれてしまい、白藤団地の方からも入る道を探して、何回となく 訪れている.
 その後、私は東京に出て、当然のことながらこの滝へ足も遠ざかってしまい長い年月が過ぎていった.私の知らない90年代後半のことらしいが、この滝も行楽地として整備がされたようで、 近年は道路もつながり、場所に不相応なほど立派な橋もかけられている.5月には白藤まつりも開催されてにぎわうようだ.
 それでも、派手な滝ではないから、今回訪れ、いざ思い出の滝の前に立てば、まるでその間に流れた長い時間などなかったかのように、私の記憶のそのままの姿がそこにあった.そして久しぶりにさらさらと 淡く落ちる水しぶきを浴び、再会の喜びに浸たれた.
 沢沿いの遊歩道と、新しくできた白藤の道が合わさっている橋から沢に入ると、左から落 ちているのが観音滝で、正面に見えている方が白藤の滝である.高さ30mほどあり垂直に落下しているが、小さな沢の源流部にあるがゆえ、梅雨時や雨の後でないと、水は涸れこそしないまでもほとんどない. 今は荒れていたけれど、滝のすぐ左手の竹の生えた斜面はどうにか登ることができて、白藤の滝の上に立ったこともある.木々に覆われていて期待した展望はなかったが、上流には10m程度で 緩い傾斜をもつ滝が存在することをこのとき知った.また、観音滝の上流にも2m程度から5mほどの高さを持つ小滝が続いている.今回、案内板によって、白藤の 滝上流のものは大滝、観音滝の上にあるものは、雨乞いの滝、弥助の滝、井の滝と名がついていることを知った.これらと遊歩道入口にある行者の滝を合わせ、一帯の滝群は白藤七滝とよばれているようであ る.
観音滝 Shirafuji
観音滝滝一帯の全景:ここに30mもの落差があるとは信じられないような 平凡な風景の中に白藤の滝はある.


案内板 遊歩道
橋の元に立つ案内板 沢沿いの遊歩道には、紫陽花が咲いていた.
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 葉梨地区は藤枝市街地の東北部に位置する.市街地より葉梨街道を進み葉梨川のすぐ脇に出ると葉梨中学がある.この先は、第二東名の工事が行われていて、 その下を過ぎてしばらく進むと、道路は滝見橋で葉梨側右岸に渡っている.この橋の手前から右手の道路に入り進めばまもなく白藤団地に着く.白藤沢を小さな橋で越えると、この団地に入る道路があるので 右折し、しばらく直進すると団地の北の外れに達して、ここから右に折れながら岡部町入野へ向かうようになる.まっすぐ進む小さな道が分かれているので、こちらに入れば団地の奥にある公園の先でさらに左右 に別れている.左手の道路の先にはお手洗いもある駐車スペースがあって、そこから始まる白藤沢に沿ってつけられた遊歩道が昔からある滝へのルートである.近年、右側の道路からも、白藤の道という名の別 ルートが整備されていてこちらも利用できる.
 遊歩道は行者(おこない)の滝という1m強の滝の脇から始まり、辿ると安楽寺の前から来た農道から分岐した道と、まだ新しい沢をまたぐ橋の架かった白藤の道に合流する.この橋の袂に案内板が立ち、その 奥、茂みの中に白藤の滝がある.
白藤の滝の所在地(Yahoo地図)
国土地理院 地図閲覧サービス
藤枝市
公共交通機関:JR東海藤枝駅前より、しずてつジャストライン葉梨線西方(にしかた)行き.30分程度で山寺入口バス停.ここで下車し白藤の滝までは徒歩で30分程度.しずてつジャストライン


滝の上部や周辺は私有地と思われるので、訪れる際には迷惑をかけることのないよう心がけてください.
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