Title:Lauterbrunnen switzerland
村の2つの滝を訪問する.
 Lauterbrunnenは谷底の村である. 日本で谷底の村というと、峡谷の急斜面にへばりつくように並ぶ寒村といったイメージが強いが、 駅を降りると、広くゆったりとした山村風景が広がっていた.アルプスの谷はU字型であるから、底は広いのである. その代わり、その両側の壁はほぼ垂直の絶壁となって視野を狭めている.
 その高さは200メートル以上、谷底の平らな緑に対比して、灰色に突き上げた岩壁は果てしなく高い. 氷河から流れてきた水は崖に出会うと、その行方を急に失い谷底に向けて落下する.村を囲む崖のいたるところに、 このようにしてできた白い筋が懸かっている.この村には少なくとも72の滝があるという.中でも2つの滝は観光名 所ともなっていて訪れる人も多い.
 Interlaken ost駅を発った電車は、Lutschhine川の狭い谷を登っていく.茶色とクリーム色の長い編成の電車はZweilutschinen駅で 2つの目的に向けて切り離される.私の乗った前方の車両はそのまま南のLauterbrunennに向かう.後方の車輌は進路を東に折れ、 Eiger麓のリゾート地として名高いGrindelwaldに向かっていく.
 雨降りで人の少ない駅を出、商店の並ぶ通りを歩いていくと、右手前方にStaubbachの滝が見えてきた. 今朝は10時にホテルを出発した.もし天気がよければ、もっと早く準備して、さきほどの後方の車輌に乗り、私もEigerを見にいったで あろう.そして、この村には夕刻、電車乗り換えのために立ち寄るだけだったかもしれない.
 しかしあいにくの雨、眺望がないならと、ゆっくりこの村を歩くことで楽しむことにした.道路のすぐ脇に落ちている滝、観光名所と はいえ山村の中、駐車スペースと標識ぐらいがあるだけである.滝の真下まで道もあるようであるが立入禁止になっていた.時に雨が強 くなったりとするし、肌寒い中この滝をわざわざ訪れる人も少ないようだ.たまに車を止めてはすぐに走り去っていく.どうやって取り付けた のか滝の上部にスイス国旗が見えている.そこは200メートルもある崖の上である.
 次のTrummelbachの滝に向かうことにした.駅からpost busが出ていると書かれていたけれど、地図で見るかぎり歩いていける 距離だ.この滝は、五万分の一の地形図Interlakenではちょうど南端にある.地図には白く印刷されている細い方の道路が私の現在 いる道である.まっすぐ進みどこかで東側の広い道に出なければならないだろう.
 黄色の標識を頼りに、左折、キャンプ場を通り過ぎると広い道路に出た.少し南に行き過ぎたようなので、左折し、 少し戻るとTrummelbachの滝の入口であった.奥に入っていくと、みやげ物屋も 建ち、その先で10スイスフランを支払い中に入る.こちらはいくらか訪問者がいた.
 ここは、ほぼ垂直に削られた洞窟の中を段々に水が落ちていく、洞窟の滝で、エレベータで途中まで上がれるようになって いる.エレベータを降りると洞窟の横につけられた細いトンネルを上下して、滝を見物できるようになっている.滝を見 下ろすと、滝の轟く音、水で濡れた床にある足は頼りなく感じ、滑り落ちそうな錯覚に襲われる.
 トンネルを下ると、外に出た.洞窟を出た水は、平凡に脇を流れている. 雨は上がり、みやげ物屋で絵葉書を物色する.いくぶん望みがでてきたから、これからJungfrau jochに向かうことにした. そこで投函する絵葉書をここで買うことにしたのである. せっかくだから、post busに乗ってみようかとも迷ったが、対して距離もないので、歩いていくことにした. 緑一色の牧草地と点在する農家.その背後の絶壁を落下する高い滝の白筋.スイスののどかな山村を満喫して 駅に着く.
cow  カウベルをつけた牛が放牧されている、牧草地の緑の中を道路は進む.
waterfall  Staubbachの滝の対岸の絶壁に落下する細い三段の滝.この滝から絶壁に沿って目を南に向けていくと壁の切れ目に行き着く. このあたりが、この村の二つめの観光資源、Trummelbachの滝である.
map Staubbach
Staubbach waterfall
Trummelbach
Trummelbach waterfall
駅にもどり、Kleine Scheidegg行きに乗る.
Satation station
 Lauterbrunnen駅は大きい.それは、ここが、村の駅の役割だけでなくJungfrau登山鉄道の始点Kleine Scheideggに登っていくWengernalp鉄道 の拠点となっているからである.黄色の客車に乗りこむと木製の座席はならんでいた.雨降りの午後、観光客は少なく、がらがらのまま駅を出発する.
 村を背にして一気に登っていく.美しい五万分の一の地形図を広げると、ぐるっと廻ってあの三段の細い滝もかかっていた高い崖の上に線路が登っていくのがわかる. 左下には、今さっきまでいたLauterbrunnenの駅が見えた.その反対側の斜面には線路がまっすぐ延びているのに気づいた.Murrenに向かうもので、Lauterbrunnen−Murren鉄道のもので、 こちらはGrutschalpまではケーブルカーであるから斜面を一直線に登るという芸当ができるのである.
 今度は右手の下に村が見えてきた.Staubbachの滝も確認できる.もう、その落ち口と同じくらい高いところにいる.標高にして300メートルほど登ったのであろう. 駅前にはホテルが並ぶWengenという大きな駅に停まった.1274mと表示されていた.この高いとも思える標高も、これから向かう目的地は3454mであるから、まだ3分1 強しか登っていない.アルプスの山々の高さから、スイス全体が高地のように思えてしまうが、麓であってもそれほど標高をもつわけではないことを知る.交通機関が強引に この差を稼いでいるにすぎないのだ.右にカーブしながら着実に谷の上に登っていった.
 脇の草地には、牛が放牧されている.谷底からは絶壁しか見えなかったけれど、その上にも人々の生活があるのがおどろきであった. Wengenの駅さえ、もうはるか下に遠のいた.離陸する飛行機の窓から外を覗いているような感じだ. シラビソのような木々があたりに見えると、雪景色に変わった.Wengernalp駅に停まる.対向列車の待ち合わせ.このあたりの雪は今日降ったば かりの雪であろう.レールの中央にはラックレールがある.薄く積もった雪の中の上に引かれた3本線に対向列車は滑り込んできた.
 Trumenbach滝に向かう流れも、このあたりを流れているはずだ.滝のトンネルの入口には、Eiger、Monk、Jungfrauの水を集めると書か れていた.天気さえよければ、向かいにはこれらの山々の端正な姿をみることができるのであろうが、今日は白色.その3山を貫くトンネルで登る 鉄道の起点Klein Sceidegg駅には三時少し前に着いた.

Klein SceideggからJungfraujochはこちら

map
散策の必需品地図.5万分の1の地形図日本のものより印刷が美しいが値段も高め. この図InterlakenにはLouterbrunnenまでかろうじてカバーされている. みやげ物屋などで購入可能だ.
Ticket_Jungfraujoch
次の目的地はJungfraujoch.

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