山頂 積丹岳
積丹岳山頂
 キャンプ場を出てバス停に向かう。今日は雲はまだ残っているが雨はあがった。 積丹岳の山頂の方角はかすんでいるので、登っても展望については少し心配である。 しかし、もう日もないから今日登るべきだ。美国橋を渡りながら、川の様子を見ると流れはまだいくらか濁っていた。
 予定では積丹岳には昨日登っているはずであったのだが、雨で一日テントから出られなかった。 おかげで美国の街をよく観察することができた。小泊キャンプ場は高台にあるから街全体をよく見渡せる。 黄金岬という名の岬の付け根に建っている3階建ての良く目立つ建物が役場である。役場から黄金岬の先に目を向け ていくと、岬先端のさらに先に宝島が離れてある。私は乗っていないけれど、このあたりを水中展望船が行き来して いた。
 岬の手前は漁港となっていて、周りには一定間隔でライトの着けられた電柱が立っている。夜テントから外に出ると、 暗やみのなかにぼんやりと四角い囲いが浮かびあがっていた。沖の方には漁り火も散らばっていて、漁に出かける小型 船のエンジン音が鳴り響いていた。漁港の夜はけっこう騒がしかった。
 港のさらに手前に積丹岳の南面に始める美国川が海に流れ込む。河口附近は砂浜になっていて、一昨日は天気も 良かったから多くの海水浴客がテントを張っていた。美国川と黄金岬に挟まれた間に積丹町の中心地、美国の町が広 がっている。国道にそって、商店が並び銭湯もあった。
 役場の筋向かいが、美国バス停である。バスは黄金岬に続く尾根に沿って登っていく。この直線の道路には一日中 セメントミキサーやダンプカーが唸りをあげて行き来している。日本中どこの山村でもみる同じ光景である。 直線を登り終えると道路は右に折れ、尾根を乗り越える。
 8時30分バスは出発した。尾根に登り林の中の部分を過ぎると、積丹岳の山麓に出た。視界は一気に広がる。 10分ほどで、登山口というバス停に着きここで降りた。山の方に向かって一直線につけられている農道を歩き始める。 15分ほどで右に折れ、すぐ砂利道に変わった。林の中に入っても、林道はひたすら直線に登っていく。まっすぐに道路 を作るのは斜面の傾斜が緩いからだろうか。見えていてもなかなか着かないからやたらと長く感じる。 道は折り返し、さらにもう一度折り返したところで、前方に赤屋根の避難小屋が見えてきた。
 一休みし水を補給することにした。中に入ると広さは30畳ほどある。入口のすぐ横に水道が備えられている。 蛇口をひねると冷たい水が勢いよく出てきた。まずは冷たい水を飲みたい。味わいは実に良かった。 せっかくだから水筒の水を入れ換えていくことにした。
 入山ノートがあるので記入する。ページをさかのぼって見ても、夏のさなかのこの時期でも登山者の数はきわめて少ない。 もちろん小屋によっていかない人も多いかもしれないので、この数が入山者ということにはならないだろうが、この山はそれほど 知られていないのかもしれない。靴を脱ぎ畳に上った。奥の壁には地元の人たちが撮った写真がかけられている。これから登る 積丹岳や、その奥にあっていまだ道のない余別岳の写真があった。写真の中には積丹大滝のものもあって圧倒される。 雨で予定は遅れてしまったが、明日戻る前になんとかこの滝も訪問していきたいと思った。
 写真を見入っていたから20分ほど小屋で休んでから出発することになった。登山道はこの小屋の手前から始まっている。 林中の歩道に入るとすぐ上に3合目の印があった。緩い登りが続いた。1合あたり20分ほどのペースで進む。5合目の上の フンベツの沢を越えたあたりから傾斜が少し急に変わった。小さな沢をまたぎ6合目、テントの沢を越えると大木と笹の道に なる。7合目で少し休むことにした。かなり汗をかいたが、風が吹くとひんやりするから気温はそれほど高くないようだ。
 次の目印はピリカ台。這松と笹の道で頂上はすぐに思えるのだが、まだ見えてこない。9合目で頂上が見えてきた。 岩の転がる急坂を登ると山頂の三角点に出た。荷物を下ろし、昼食の準備をする。
 あいかわらず視界は良くはないが、風が吹くと周りの山を見渡せるほどにはなった。すぐ南側は切り立っているようで、のぞき込むと はるか下に、美国川の源流部が見える。風はこの谷から吹き上げてくる。積丹岳から続く細い稜線の先には余別岳が見え隠れする。 行ってみたい気もするが、今日は時間がないから無理だ。それに道があるわけではないのでかなり苦労するだろう。 半島のほぼ先端にあるのだから、海に囲まれた3方向の展望は開放的で最も期待できるのであるが、残念ながら今日は頂上北側の 這松の先になだらかな尾根が続き、その先に目をやると海らしき一面がやっと見える程度であり、かすかに四角くコンクリートで囲まれ た漁港が見えていて半島の海岸線がそのあたりにあることがわかる。
南側 予別岳
頂上の南側は急な傾斜で美国川の谷底まで窪んでいる. ここから流れ出した雨水は流れ流れて美国橋の下を通り、海に注ぐ。 半島の最高峰予別岳は、すぐ西側にそびえている。 ここから稜線をつたって行けばいけそうだが道はない。
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<地形図> 余別・古平(5万分の1)
<交通機関>JR小樽駅から、神威岬行きに乗り、登山口下車。
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