蕎麦粒山
蕎麦粒山

蕎麦粒山は、東京都と埼玉県の県境線がひかれている都県界尾根のピークで、平野部からも 川苔山の北西部にその角ばった特徴ある山頂部をみつけることができる。

標高1500メートルと奥多摩の日帰りで登られる山々と同じクラスであるが、この山へ直接登ることのできる 鳥屋戸尾根はやや難があり代わりに使われるヨコスズ尾根を経由するルートは歩距離が長く、他の都県界尾根のピーク と同様、入山者の少ない静かな一帯となっている。

山頂の東側は防火帯が切られていることから眺望もよく、ルート中も自然林部分が多いことから、脚に自信があれば 、奥多摩の山の美しさを賑わいを避け静かに満喫できる絶好の場所といえる。

routes

蕎麦粒山は1473メートルの標高があり、百尋の滝で有名な川苔谷源頭の西に位置していることから、川苔山同 様ちょうど日帰り手ごろな山の一つとして数えられてもおかしくない存在である。しかし、最短ルートといえる川乗橋 から鳥屋戸(トヤド)尾根を辿るルートは、入口部分から笙の岩山に至る部分で歩道がよくないことからほとんど使われ ず、倉沢を挟んだ一つ西に都県界尾根から派生しているヨコスズ尾根へ東日原から登り、その付け根にある一杯水小屋を 経由して都県界尾根を東に辿るルートを使うのが普通となっている。

そのことから距離が長くなり、帰路もその長い往路を東日原までもどることになり、夕方まで丸一日かけて歩く感じ になり初心者の日帰りにはややきつい行程といえる。ほかに主に下山に使われるルートとしてあげられるのは、山頂から 東側の防火帯を下り都県界尾根を辿って日向沢の峰経由で大丹波林道へ降りるものがあり、このルートから、さらにその 先の赤杭奈尾根まで進んで古里駅に下ることもできるが、どちらも駅に出るまでに要する時間は長い。

いずれのルートを使うにしても、奥多摩駅のスタートが早朝となるように計画し、山頂で昼食して午後を下山にあてる 余裕をもった日程を必要とする。コースを通して途中で退避する手頃なルートもないことから、長丁場のコースを歩き通 せる脚力を必要とすることからも中級者向けの山である。

ヨコスズ尾根を登る

ヨコスズ尾根は都県境尾根から派生する尾根で、日原川支流である小川谷と倉沢谷を分水している。蕎麦粒山の 登山では、このコースを使うのがもっとも一般的であり、東日原バス停から歩き始めることになる。バス停を後に、 尾根の末尾を這い上がる植林中の急坂を終えれば、天目山の南に位置する尾根の結節点に建てられた一杯水非難小 屋まで尾根の背、自然林の中を進む緩いのぼりが続き快適な歩程となる。

アプローチに使う日原線のバスは、休日の運行では東日原が終点になっている。早朝東日原で降りていく 乗客の大半は鷹巣山に向かうようで、すでにヨコスズ尾根登山者は少数派だ。バス停から東に少し戻ったとこ ろに降りてきている車道が、ヨコスズ尾根ルートの入口であり、これをちょうどバス停の上あたりまで戻った ところに、歩道の入口がある。

歩道を進むと斜面に民家が点在している。最後の民家を超えると折り返しが続く植林中の登りとなる。この部分 の東側は、バスではトンネルで超えてしまう奥多摩工業の採鉱所の上部があり鉄柵が現れる。これを西に向かい、 日原から登ってくる別の登路が合わさると、そのすぐ先で折り返す感じで北向きになり登りとなる。

左手は自然林となるが右手には植林が続いている。右手は切り立った細い歩道となり進むと、右手に尾根が合わ さっていて、瀧入の峰を巻くように進み、稜線の背に出る。

両側とも沢に削りとられやせ細った尾根の部分が2回続き、樹間に都県境尾根側が見えてくる。時に、西のタワ 尾根や天祖山を見ながら、緩いのぼりが続きピークは巻いていく。幅の広がった自然林の尾根筋に出て、やや下り となって次のピークも巻く。このあたりは、運良く新緑、紅葉の季節に一致すると、その鮮やかな色彩を存分に楽 しめ、冬であれば落葉した木々の上に広がる青い空は広く気持ちの良い道程だ。

細木の間を進むようになり、まもなく一杯水非難小屋前に出る。ここから、都県界尾根の上を東に向けて進む ことになり、小屋の横から植林中に続いているルートに入れば、まもなくパイプの先からチョロチョロと水が落ち る、その名の通り水一杯を得るのがやっとの細い水場がある。季節によってほとんど涸れている場合もあるので、 ここでの補給を期待してはならない。このルートを通して期待できる水場がないことから、出発時長丁場のコース を辿るのに十分が水を携行しなければならない。

植林が終わると道標が立っていて、ここから秩父側に踏み跡がついている。グミの滝を経て 細久保谷に沿って ついている天目山林道に下るものであるが、沢筋で急なところもあり、どうにか踏跡を探してそれを追って いく感じのところもある荒れたルートだ。

歩道は蕎麦粒山まで、尾根の上に乗っているいくつかの小ピークは巻いていくようにつけられていて、緩いアップダウン のみの快適な歩きで爽快だ。やや下りになり登り返しピークを巻き、その次のピークを巻いていくと南側から歩道が合わさって いる。倉沢林道から登ってくる棒杭尾根のものであろう。

この分岐をやり過ごすと、その先にもピークが並んでいるのが樹間に見えるようになり、左手北東側にルートは折れていく。 仙元峠の分岐が現れ、急な登り坂を登ったピークの上にある峠には祠がおかれている。かつて、日原集落の交易路として使われ ていた秩父側へ下っていく歩道が分れているが、峠からしばらくの間道の状態はよくない。

蕎麦粒山山頂部 山頂部分

蕎麦粒山に向け直進すると急な下りになって、先ほどの巻道の続きに戻り、すぐ蕎麦粒山のピークへ向けた登りと なる。ピークへは2回に分けて登る感じで、最初の登りを終えほっとしているとすぐ次の登りが現れて、露岩のある山頂に 出ることができる。

山頂の東側は防火帯が切られていて、その頂部の狭い場所に三角点がある。防火帯は急斜面で下っていて、その背後に、 川苔山や都県界尾根上の峰々の並ぶのが見渡せる。天気がよければ、飯能あたりから先の平野部の眺望もあり、眺めながら ゆっくりと食事を取るのにふさわしい場所だ。

CourseTime
JR青梅線奥多摩駅 25分(バス)arrow 東日原 30分arrow 歩道の合流点 40分arrow 滝入の峰の北東側  40分 arrow一杯水非難小屋 35分arrow 仙元峠分岐 10分arrow 仙元峠 10分 arrow 蕎麦粒山分岐 10分arrow 山頂
帰路は、同じルートを戻るのが一般的で、他には防火帯を日向沢の峰に向かうものがある。日向沢の峰の先にある鞍部、踊平か ら大丹波へ下って川井駅に出るか、さらに赤杭尾根を辿り古里駅に出る。
Transportations
往路:JR青梅線奥多摩駅下車.西東京バス東日原(平日は鍾乳洞)行きに乗り、東日原で下車.
植林の登り 歩道に入り民家を終えると植林中の登りとなる。折り返しのある登りが終わり、日原からの別の登路が交わる。
ヨコスズのルート ヨコスズ尾根の背に出ると、自然林の下の緩い登り。
一杯水非難小屋 一杯水非難小屋。
分岐 グミの滝を経て秩父浦山に下るルートの分岐。
棒杭尾根 棒杭尾根。
仙元峠 大正年間の祠が建つ仙元峠。川俣へむかって下る尾根伝いの道が分かれている。
蕎麦粒山』登り口 仙元峠から下るとすぐ先に蕎麦粒山ピークへ登る分岐がある。
山頂 岩塊が並ぶ山頂部。

下山

山頂直下から防火帯が切られていて、日向沢の峰まで東に向かって都県界尾根の稜線上に続いている。 日向沢の峰で防火帯は都県界尾根を離れ、川苔山の北東にある曲谷の峰に向けて向きを変えている。 日向沢の峰のピークを過ぎ下り転じると、踊平と呼ばれている鞍部があり、ここから大丹波に下るルートが 分かれているのでこれを下ることができる。さらに防火帯をすすんで曲谷の峰を越え、川苔山の下山に使わ れる赤杭尾根を歩いて古里駅に下ることもできる。

前者は、日向沢の峰を越えれば、後は下り続きとなり楽ではあるが、 長い林道歩きと、バスの時刻に会わなければ川井駅までの車道を歩く時間が加わることになり、どうせ川井駅ま で歩くことになるなら、後者を使って山中の歩道を辿ろうかとも思うが、曲谷の峰への登り返しが加わることが ためらうもとになる。

東側への下山は、山頂から見下ろせる足がもつれそうな急斜面を下りで始まる。防火帯がやや平坦になった 先にある小さなピークを超えるために一旦登坂になるが5分ほどでこれを登り終えて、ふたたびルートは平坦と なり、これを進むと日向沢北峰と呼ばれる部分に出るが、防火帯上の1点でありとくに目立つ特徴もないから、 注意していないと見落としてしまうかもしれない。

都県界尾根をさらに東に辿り長尾ノ丸を経て棒ノ折山に達するルートが分岐していき、そこを右手に登ったと ころが、日向沢南峰で狭いピークではあるが、南側の川苔山あたりから西側の雲取山あたりまで眺望があって、 休憩するのに最適の場所だ。

このピークを後にすると防火帯を進む下りとなる。途中にある露岩部分ではそれを巻くために植林中につけられた 急な下りの踏み跡をたどれば、まもなく踊平と呼ばれている鞍部に出る。ここの下にはトンネルが掘られてい て川乗林道を大丹波側とつなげているが車道は通行止めになっている。

この踊平と南東に登りなおした先にある横ヶ谷平へは、大丹波川に沿って登ってくる登山道があり、それらのど ちらかを使い大丹波に下ることができる。いずれのルートも獅子口小屋跡で合流して河床沿いの歩道が林道大丹波線 に出るまで続く。

大丹波に下ると決めれば、登りなおしのある横ヶ谷平まで行くのは無駄になるので、踊平で尾根筋から離れる。 最初の急斜面についた踏跡を追っていく部分はややきついが、沢沿いになればまもなく獅子口小屋跡に出る。

この小屋の名の由来となった獅子口は、横ヶ谷平側のルートが獅子口小屋跡に出る直前にあり、稜線からまっすぐ 落ちている急傾斜の沢の脇の小さな洞窟で、水が湧き出している。小屋跡からは50メートルほどしか離れていないの で、往復も容易だ。

小屋跡からは、緩い下り続きで道の状態も整っている。このコースは河床を歩く部分も多く、曲ヶ谷の合流点あたりは 桟道、木橋が連続することから、冬季、特に積雪期や雨後の利用については注意が必要だ。曲ヶ谷が合わさってルートが再び河 床に下りると、林道大丹波線に出るための登りとなる。林道に出て歩き始めればすぐ舗装道となるが、歩きがかなり残っている ことを覚悟しなければならない。北岸についている林道が南岸に渡るとまもなく林道部分は終え、棒の折山登山道の起点になっ ている奥茶屋キャンプ場が現れる。大丹波川の河床に設けられたキャンプ場が並ぶ一帯を過ぎると清東橋があって、西東京バス によって運行されているバスは、便によってはここから発車する。その他の便では15分ほど歩いた先にある上日向から発車し ているが、朝夕を中心とした運行であり便数は多くない。

運よくバスの時刻に合えば、これを利用し川井駅からJR青梅線に乗ることになるが、車道歩きは長くなるがさらに 川井駅まで歩き通してしまった方がバスを待つより早いことが多いだろう。

体力に自信があれば、踊平からさらに南東に向かい赤杭尾根を経て古里駅に出てしまう方が、車道歩きも少なくて済み 良いだろう。赤杭尾根は、川苔山のすぐ東にある曲ヶ谷の峰から南東に伸びていて、川苔山下山路として使われる。 曲ヶ谷の峰の南側にある狼住所からは、川苔山の南東にある舟井戸コルに向かう歩道も分かれているので、こちらを経て 鳩の巣駅に降りることも可能だ。

踊平からは、登り坂となった防火帯で曲ヶ谷の峰に向かう。この道順は大丹波からの川苔山登山コースであり、余裕が あれば曲ヶ谷の峰、そしてその先の川苔山まで登ってしまうこともできるが、曲ヶ谷の峰部分は東側につい ている巻き道を使い狼住所へ出るのが普通であろう。

狼住所から、赤杭尾根を下る歩道については、川苔山のページを参照してほしい。

CourseTime
山頂 30分arrow長尾ノ丸の分岐 5分arrow 日向沢の峰 15分 arrow踊平 20分 arrow横山平 5分 arrow 巻道分岐 5分 arrow 狼住所
赤杭尾根を下る歩道については、川苔山のページをごらんください。
Transportations
西東京バス清東橋(時刻によっては上日向)から奥多摩駅行きに乗り、川井駅で下車.
蕎麦粒山東の防火帯 山頂東直下に続く防火帯。
防火帯 防火帯の道を行く。
日向沢の峰 日向沢の峰。
踊平 獅子口小屋への歩道が分岐する踊平。
獅子口小屋跡 獅子口小屋跡。
獅子口 小屋跡から横山平の歩道を50メールほど進むと獅子口がある。
歩道入口 林道大丹波線にある、歩道の入口。
蕎麦粒山
東日原
東日原バス停

そのほか:
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1/25000地形図:
登山用地図:山と高原地図 23 奥多摩 2009年
      ヤマケイ登山地図帳7 川苔・御岳・高尾
オンライン地図:YAHOO 地図
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