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川苔山の北に日向沢ノ峰という名の1356メートルのピークが存在する.
あまり知られていないし、知っていても登られない山だ.雲取山に発する県境尾根が東端となっている
棒ノ折山に近づいていく途中の1ピークにすぎないから、
長沢背稜の下山者の通過点ぐらいにしか評価されていない.
しかし、そのアプローチが良くないことが人を寄せつけない最大の理由であると私は思う.川苔山か ら往復する方法が考えられるのであるが、片道で1時間ほどかかることになるので、わざわざ9メートルも低いこ のピークまで行くような計画は立てたくないはずだ.川苔山を越えた奥にある山という連想は効果的に 人々の足を遠ざけているのかもしれない. 直接登れるルートを探してみれば、大丹波川に沿っていくしかなさそうであるが、林道歩きの時間が 長くなってしまい魅力はない.北西の蕎麦粒山をまわってくるとしても、一杯水の避難小屋から辿っていくの だから、アプローチは長くなる一方だ. 以前蕎麦粒山に登った時、一杯水小屋に引き返 しているので、このピークは私がまだ入ったことのない場所としてとり残されている.この空白を埋めるべきルート の当てはめに苦心させられる. 結局、大丹波川の林道を使わざるえおえないと決めかかったその時、少し前の地図をひろげてみれば、 棒ノ折山から長尾丸山を通る尾根上にも道が続いていた.この地図が発行された10年ほど前には、このルート は使われていたのだろう.しかし、いつも使っている二万五千分の一地形図には道はないし、近年の登山地図 でもルートとして載っていないので、廃道となってしまったようだ. 10年の歳月は、どの程度までこの歩道を自然に帰してしまったのか少し不安が残るが、有間川側には林道も できているようなので、もし行き詰まってしまったとしても、逃げ出すことは可能だろう.それに最初に棒ノ折山頂に立って から、このルートに入ることになるので、もしそこで道が使えないことが判明したとしても、そのまま有間ダムに下ってサワラ ビの湯に浸かって帰ってくるのも悪くない.早々敗退という結果に帰したところで、一日を棒にふったような悔しさは残らな いだろうから、今回は思い切って不定のコースに挑戦してみることにした. 川井駅からバスに乗る.7時代のバスは上日向行きだったので、終点で降りて奥茶屋まで歩くことになった. まだ、このまま林道を登っていこうかという迷いも残しながらながら、棒ノ折山の登山口に着く.わさび田の続く沢沿いの 道を登り終えると、植林中の急な登りが続き山頂に出た.まだ今日は早いから、春先は特に騒がしい棒ノ折山の山頂 も空いていた.山頂に立つ道標に日向沢ノ峰の文字はあるので、道は続いているようだ.しかし不安にさせるのは、 この表記内容は明らかに誤っていることだ.長尾丸山と日向沢ノ峰が入れ替わっているとしか考えられない. 朝食を終えて仙岳尾根側に道をとると、さすがに踏み跡は薄くなったが見失うほどではない. 仙岳尾根から落合に下る道は通行止とされていた.向かう方向には何も指示がないだけに、はたしてこれから先、 道は続いているのか不安ではある.植林中は作業道が細いながらも踏み跡を残している.945メートルのピークに 問題なく達した.このピークを降りた先の鞍部には林道が間近まで迫ってきている. ここから再び登りはじめ、道は大きなピークを巻いて進む.ここが長尾丸山で、名前もあるだけにピークに立た なかったのは少し残念だが、先を急ぐことにした.鞍部になり、そこを登るとすぐ岩のごつごつしたピーク、この後、踏後 はいよいよ薄くなり難儀する.大丹波川側の斜面は結構急に切れ落ちている.尾根は細くなり、名栗側が切れ込 んできた. 目標は送電線、これに向かって進み鉄塔の元に出る.ここからは送電線の巡視路なのであろう.黄色い東電の標 柱が立ち、歩道も整備されている.前方には目指す日向沢ノ峰が見えている. 右に折れ有間山に続く尾根側にそれていく所で、巡視路を離れ、まっすぐ急な踏跡を登っていくと、防火帯に出た. 防火帯の左上に南峰の頂があり、それは予想以上に狭いピークであった. 展望には優れ、蕎麦粒山、三ツドッケ、長沢背稜の山々、 雲取山、石尾根の山々が見えている.石尾根の背 後に見えるのは方向からみて三頭山であろうが、幅広でみなれない山容だった. 御前山、大岳山は、 その位置、その形から確認は容易だ.その手前には、川苔山も見えているのであるが、これも少しだけ 見慣れない姿だった. |
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