鷹ノ巣山
山頂
 都内最高峰である雲取山から南東に伸び、奥多摩駅のある氷川で終結する長い尾根筋は、石尾根の名で知られて いる.この石尾根上のいくつかあるピークの中で、単独で日帰り山行する対象にもなっている、代表的な山といえ ば、この鷹ノ巣山をあげることができる.海抜1737メートルの頂、南側は樹木が取り払われていて、南西には 大きな富士が鎮座し、西南には一列に連なった南アルプスのも眺望できるすぐれた展望台である.
 多摩川とその支流である日原川を分水している尾根が石尾根であり、鷹ノ巣山はほぼ中央部にある.登山ルートも 多く、それぞれの登山口へのアプローチには運行数が比較的あるバスを利用できることから往路、復路で別コースを 選んだ日帰り山行の対象として人気の高い山だ.
 日原川の流れる北東からのルートは、中日原集落から始まり、集落西に聳え立つ石灰岩の露岩である稲村岩を経由 して、稲村岩尾根を登っていくものだ.わずか2時間強で、直接頂まで到達することができるが、その分単調な登り 続きとなっていて、ややきついルートでもある.
 一方、奥多摩駅前より石尾根縦走路を辿っていくこともできる.しかし延々と続くその長さから、登路として、利 用されることはほとんどなく、バスの時刻を気にしなくて良いことから、下山路として選ばれるのが普通のようだ.
 奥多摩湖北岸に始まるルートは3つあり、通常はこれらのいずれかを登路として選ぶことになる.頻繁にバスが 運行されている水根バス停を起点とする水根コースは、水根集落から水根沢をさかのぼり鷹ノ巣山南東の水根山に続く ルートで、何よりアプローチの良さが魅力である.比較的勾配はゆるいが、水根山南東斜面の植林中を稜線に這い上が るまで、まったく展望がなく、登路としては、やや敬遠されているかもしれない.逆に下山路としては、バスの便のよ さもあって便利なルートといえるだろう.
 鷹ノ巣山の東で石尾根から奥多摩湖に向けて高度を下げていく尾根が、かやの木尾根で、奥多摩湖湖岸の倉戸口か女の湯 から倉戸山に登り、この尾根の背を伝うルートにアプローチできるのであるが、いずれも利用者は少ないようだ.
 鷹ノ巣山とすぐ西に位置する日陰名栗峰の間、巳ノ戸のくびれと呼ばれるコルには非難小屋が設置されている.ここに向 けて、奥多摩湖に流れ込んでいる峰谷川最奥の奥集落より登っていくのが、浅間尾根ルートである.手前の峰谷集落までは、 便数は少ないながら、奥多摩駅よりバスが運行されているので、アプローチも容易で高度差も減じられる.奥集落西側の浅 間尾根の背を伝う登りで、しばらく植林中の登りで高度を稼げば、稜線上の小さなアップダウンを繰り返して非難小屋に着 く.
 小屋からが、石尾根稜線の防火帯にそって登り山頂に達することができる.コースタイムはバス停から2時間半から3時 間といったところで、もっとも楽な鷹ノ巣山ルートといえるだろう.

鷹ノ巣山と川乗山は、私の好きな奥多摩の山であって、よく登っている山だ.いずれも、コースが多いことが特徴で、 それらを組み合わせることによるバリエーションを山行のたびに選ぶことから、何回登っても厭きもこないし、奥多摩駅か ら比較的近いこともあってアプローチに時間を割かなくてすむ.コースタイムも短いほうなので、日没の早い冬場でも登れ、 休日、予定もなく出かけていくとき、その行き先として思いつくのもいずれかである.
 この山に最初に登ったのは2001年春のことである.奥多摩駅の峰谷行き始発バス発車時刻を6時30分だとうろ覚えで、 早々家を出たのだが、このバスは休日には7時45分と一時間以上遅くなる.峰谷橋を通るバスであればちょうど発車すると ころだった.奥多摩湖湖岸の峰谷橋から峰谷までは、車道を1時間ほど登らなければならないから、このバスに乗っても峰谷 行きバスを待つのと登山道に入る時刻はたいした差がなくなってしまいそうに思えた.ただ、4月中旬とはとはいえ、まだ少 し肌寒く、何もしないで1時間待っているのもつらいので、こちらのバスで行くことに決めた

 峰谷橋でバスを降りた.私の住む青梅では、山肌一面が新緑に覆われはじめた美しい季節に入っていたのであるが、 このあたりでは、まだ新緑はこれからだった.今日は、新緑のなか歩くことを期待してきたのであるが、山地ゆえやはり気候は だいぶちがっていた.橋の袂にあるバス停を歩き始め、峰谷川下流部、奥多摩湖の入江に沿った道路に入ると、すでに湖畔を 陣取る釣人が散らばっているのを見渡せる.
 小河内小学校の下を通りぬけ、雲風呂という変わった地名の集落のあたりに来ると、道のすぐ横を流れている小川は清流の ようにに変わっていた.峰谷からは、峰集落を経て赤指尾根を雲取山方面に登るコースがある が、その分岐が現れた.今日は目指すのは鷹ノ巣山で、まっすぐ奥集落までいかなければならない.すぐ先に民宿清流荘があ ってその横に峰谷バス停があった.考えていたより時間がかからなかったようで、バスはまだ来ていなかった.
奥集落まで車道が通じていて、これに沿って進むことになるが、地形図で三沢とかかれている集落の手前の橋を渡ると、地図 にある沢沿いの林道がわかれていく.その先に舗装された道路が民家の前まで続いていて、ここが登山道入口になっている. 急傾斜の道を登り左に折れたところから歩道が始まり、奥集落に続いている.自動車道が開削されるまで使われてきた旧 道と思われる道筋で、歩きやすい歩道だ.
 歩道は、民家の前から車道に出る.車道を少し進むと、道路脇の緑色の手すりのあるところから近道があって、上にあ る民家の前に出る.峰谷あたりがよく見渡せる車道は、集落の中を登っていき未舗装となった.左手に登山道入口が現れる.

 登山道に入り、植林中を南西に向かってほぼまっすぐ進むと右に折れ、そこには鳥居が立っている.この鳥居をくぐると神社までゆるい直線の登りが続いている. 2つめの鳥居をくぐれば社が建っていて、左手より尾根沿いの登りが続いている.植林に入る手前で振り返ると、富士の白い峰が、赤指尾根末端の1244メートルピークの左 側に見えていた.浅間尾根という名を背負っているだけに、富士を背に登ることになる.つづら部分を終え植林の登りを終えるとは落葉林、落ち葉を踏みながらゆるい坂道が続 いた.左手に見えているピークは日陰名栗の峰、幅広く、頂上付近の樹林は切れていることからはっきり特定できる.歩道脇に笹も混じり、平坦な道がしばらく続いた.
 少し登りになって小ピークに登れば鷹巣山の頂が見え、少しくだりぎみになって進んだところに水場ある.尾根西側の谷がせりあがってきて、地形図上では歩道がちょうど 西に折れていく場所だ.登山道が石尾根稜線に交わっている非難小屋前までもうわずかであるが、谷の先には富士が覗いていたので、休憩していくことにした.
 歩き始めると非難小屋はすぐだった.ここも、他の奥多摩域非難小屋と同様に、近年建てかえられたログハウス調の立派なものだった.ここから、防火帯の登り になる.三角形の鷹ノ巣山の稜線が、そのまま傾斜となるからかなりの登りだ.二等辺三角形、幅広い山姿の雲取山も左手に見えてきた.
 まもなく1700メートルの 山頂に立つ.バス停を出てから3時間の道のりであった.期待通り山頂の眺望は文句なしに良い.南側が開けているから、大岳山、御前山、三頭山と多摩川向かいの山々が一望 できる.その背後には丹沢あたりのひときわ高いピークがかすんでいる.その右に富士山がそびえ、北にむけて視線を移していけば大菩薩の山々も見えている.その右背後には、 南アルプスのまだ白いままの峰々が一直線の壁をつくっていた.
 昼食を終え下山に移る.石尾根を伝うため、まずは東南の水根山に向けて下っていく.ふりかえると山頂の人影も増えているようだ. 倉戸山、水根、熱海方面の分岐を越えると、水根山の山頂に出る.尾根をたどっていくと急な下りになって、川乗山が前方に見えていた. 南側の木々の間には、奥多摩湖の青い湖面も覗いている.
 鞍部を超えた先に小さなピークには、空に向かって枝を広げたぶなの大木が立っていた.このあたりが城山のようだ.
 コブを超えると悪路となり、急なくだりの上背丈もある笹の中の道に変わり、道を失ってしまったように感じられた.あまりの 変わりように驚かされたが、石尾根縦走路が合流してきてことから、本来のルートは水根山からこちらを通るべきだったことがわかり、今 たどった道の悪さに納得できた.
鷹ノ巣山 [Photo] Takanosuyama @here
植林帯を抜けるとミズナラを中心とした木々の天然林の中に入る.
桜が満開
車道沿いの桜はちょうど満開であった.都心で花見を騒いだのは2週間ほど前のことだ.
峰谷橋 [Photo] Minetani @here
峰谷橋でバスを降りる.
峰谷集落 [Photo] Minetani @here
奥集落から見下ろした峰谷集落.峰谷集落のバス停前からここまで30分ほどかかっている.
神社
鳥居を越えて浅間尾根を登っていくと社が建っている.
水場から富士山 [Photo] Fujisan @here
水場に腰掛けて前方を見ると、ちょうど正面に富士の頂が覗いていた.
避難小屋 [Photo] Hinangoya @here
鷹ノ巣避難小屋.水場から五分ほど、石尾根の稜線に出るとログハウス調の新しい小屋が建つ.
防火帯 [Photo] Takanosuyama @here
避難小屋から山頂までは切り開かれた尾根を直登する.
富士山 [Photo] Fujisan @here
防火帯の坂を登っていくと、木々が切れて南側の展望がきくようになった.富士も正面に見えている.
日陰名栗の峰 [Photo] Hikagenagurinomine @here
日陰名栗の峰.名前からして地味な山であるが、鷹ノ巣山と並んでよく目立つピークである.
鷹ノ巣山の山頂
鷹ノ巣山山頂 [Photo] Takanosuyama @here
頂上は見通しの良い広場となっていてその中心に標石と案内板.
富士、鷹ノ巣山山頂から [Photo] Fujisan @here
山頂からも富士はよく見えた.上半分はまだ雪を被って白い.
南アルプス [Photo] Minami arupusu @here
御前山と大岳山 [Photo] Gozenyama Otakesan @here
大菩薩の山々背後の白い壁は南アルプスの連なり.
奥多摩入口部の二峰、御前山大岳山が見えている.
雲取山 [Photo] Kumototriyama @here
最奥部の山という感じのする雲取山も、ここではすぐ隣にある.

 スイッチバックの急坂で、鞍部に下りた.前方にはピークが見えているのだが、道は北側を巻いていて、北面だけに、4月半ばであって も雪が残っていてぬかるんでいた.3つのピークを超え、六ツ石山への分岐のところで南側に出た.すぐ先には石が並んでいて祠がある. その先に大岩があって.ちょっと南に出っ張った場所に立つと川筋を見下ろせる.そこには、もう奥多摩湖の姿はなく、小中沢の谷筋が降 りていっている境集落のあたりだ.沢の向こう側はハンノキ尾根ということになるであろう.もう奥多摩駅も間近かに思えてきたが、 実際にはまだまだ先は長い.切り開かれた急なくだりを降りていくと、正面に大岳山が現れ、三ノ戸林道の分岐に出た.
 そのまま尾根を進む.1時間ほどを要してからやっと車道.この車道を下っていくと、青梅街道、氷川の商店街に達する. 氷川大橋を渡って、奥多摩駅に向かった.
石尾根
水根山 [Photo] Mizuneyama @here 頂上(水根山から) [Photo] Mizuneyama @here
山頂を発ち水根山に向かう. 水根山手前では頂上の全景が見えた.
ブナの大木 [Photo] Buna @here 城山のあたりに立つブナの大木.
石尾根 [Photo] Ishione @here
石尾根、六つ石山付近の露岩.
石尾根 大岳山 [Photo] Ishione Otakesan @here ゴンザス尾根 [Photo] Gonzasu @here
前方上部に大岳山が見えている.尾根の高度もだいぶ下がってきたように感じるが、駅まではまだ遠い. 本仁田山から南に延びるゴンザス尾根.氷川集落の背後に横たわる高く広い尾根は、多摩川の流向を変え、下流から氷川に辿る人々を阻害してきた.
course time 奥多摩駅 30分(バス)arrow 峰谷橋 30分arrow 峰谷バス停前 10分arrow 奥集落への近道入口 20分arrow 奥集落 25分arrow 神社 65分arrow 水場 5分arrow 避難小屋(巳ノ戸のクビレ) 20分arrow 山頂 20分arrow 水根山 55分arrow 六つ石山分岐  30分arrow 三ノ戸林道への分岐 50分arrow車道に出る 35分arrow 奥多摩駅
takanosu

maps
 地形図:奥多摩湖(25,000分の1)
 山と高原地図 奥多摩
交通機関
JR奥多摩駅より西東京バスに乗り、終点峰谷(峰谷行き)で下車するか、峰谷橋で下車(留浦、小菅、丹波、鴨沢西行き)し、車道を30分ほど歩く.

2001年4月現在.

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愛宕山 [Photo] Atagoyama @here
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