鷹ノ巣山と川乗山は、私の好きな奥多摩の山であって、よく登っている山だ.いずれも、コースが多いことが特徴で、
それらを組み合わせることによるバリエーションを山行のたびに選ぶことから、何回登っても厭きもこないし、奥多摩駅か
ら比較的近いこともあってアプローチに時間を割かなくてすむ.コースタイムも短いほうなので、日没の早い冬場でも登れ、
休日、予定もなく出かけていくとき、その行き先として思いつくのもいずれかである.
この山に最初に登ったのは2001年春のことである.奥多摩駅の峰谷行き始発バス発車時刻を6時30分だとうろ覚えで、
早々家を出たのだが、このバスは休日には7時45分と一時間以上遅くなる.峰谷橋を通るバスであればちょうど発車すると
ころだった.奥多摩湖湖岸の峰谷橋から峰谷までは、車道を1時間ほど登らなければならないから、このバスに乗っても峰谷
行きバスを待つのと登山道に入る時刻はたいした差がなくなってしまいそうに思えた.ただ、4月中旬とはとはいえ、まだ少
し肌寒く、何もしないで1時間待っているのもつらいので、こちらのバスで行くことに決めた
峰谷橋でバスを降りた.私の住む青梅では、山肌一面が新緑に覆われはじめた美しい季節に入っていたのであるが、
このあたりでは、まだ新緑はこれからだった.今日は、新緑のなか歩くことを期待してきたのであるが、山地ゆえやはり気候は
だいぶちがっていた.橋の袂にあるバス停を歩き始め、峰谷川下流部、奥多摩湖の入江に沿った道路に入ると、すでに湖畔を
陣取る釣人が散らばっているのを見渡せる.
小河内小学校の下を通りぬけ、雲風呂という変わった地名の集落のあたりに来ると、道のすぐ横を流れている小川は清流の
ようにに変わっていた.峰谷からは、峰集落を経て赤指尾根を
雲取山方面に登るコースがある
が、その分岐が現れた.今日は目指すのは鷹ノ巣山で、まっすぐ奥集落までいかなければならない.すぐ先に民宿清流荘があ
ってその横に峰谷バス停があった.考えていたより時間がかからなかったようで、バスはまだ来ていなかった.
奥集落まで車道が通じていて、これに沿って進むことになるが、地形図で三沢とかかれている集落の手前の橋を渡ると、地図
にある沢沿いの林道がわかれていく.その先に舗装された道路が民家の前まで続いていて、ここが登山道入口になっている.
急傾斜の道を登り左に折れたところから歩道が始まり、奥集落に続いている.自動車道が開削されるまで使われてきた旧
道と思われる道筋で、歩きやすい歩道だ.
歩道は、民家の前から車道に出る.車道を少し進むと、道路脇の緑色の手すりのあるところから近道があって、上にあ
る民家の前に出る.峰谷あたりがよく見渡せる車道は、集落の中を登っていき未舗装となった.左手に登山道入口が現れる.
登山道に入り、植林中を南西に向かってほぼまっすぐ進むと右に折れ、そこには鳥居が立っている.この鳥居をくぐると神社までゆるい直線の登りが続いている.
2つめの鳥居をくぐれば社が建っていて、左手より尾根沿いの登りが続いている.植林に入る手前で振り返ると、富士の白い峰が、赤指尾根末端の1244メートルピークの左
側に見えていた.浅間尾根という名を背負っているだけに、富士を背に登ることになる.つづら部分を終え植林の登りを終えるとは落葉林、落ち葉を踏みながらゆるい坂道が続
いた.左手に見えているピークは日陰名栗の峰、幅広く、頂上付近の樹林は切れていることからはっきり特定できる.歩道脇に笹も混じり、平坦な道がしばらく続いた.
少し登りになって小ピークに登れば鷹巣山の頂が見え、少しくだりぎみになって進んだところに水場ある.尾根西側の谷がせりあがってきて、地形図上では歩道がちょうど
西に折れていく場所だ.登山道が石尾根稜線に交わっている非難小屋前までもうわずかであるが、谷の先には富士が覗いていたので、休憩していくことにした.
歩き始めると非難小屋はすぐだった.ここも、他の奥多摩域非難小屋と同様に、近年建てかえられたログハウス調の立派なものだった.ここから、防火帯の登り
になる.三角形の鷹ノ巣山の稜線が、そのまま傾斜となるからかなりの登りだ.二等辺三角形、幅広い山姿の雲取山も左手に見えてきた.
まもなく1700メートルの
山頂に立つ.バス停を出てから3時間の道のりであった.期待通り山頂の眺望は文句なしに良い.南側が開けているから、大岳山、御前山、三頭山と多摩川向かいの山々が一望
できる.その背後には丹沢あたりのひときわ高いピークがかすんでいる.その右に富士山がそびえ、北にむけて視線を移していけば大菩薩の山々も見えている.その右背後には、
南アルプスのまだ白いままの峰々が一直線の壁をつくっていた.
昼食を終え下山に移る.石尾根を伝うため、まずは東南の水根山に向けて下っていく.ふりかえると山頂の人影も増えているようだ.
倉戸山、水根、熱海方面の分岐を越えると、水根山の山頂に出る.尾根をたどっていくと急な下りになって、川乗山が前方に見えていた.
南側の木々の間には、奥多摩湖の青い湖面も覗いている.
鞍部を超えた先に小さなピークには、空に向かって枝を広げたぶなの大木が立っていた.このあたりが城山のようだ.
コブを超えると悪路となり、急なくだりの上背丈もある笹の中の道に変わり、道を失ってしまったように感じられた.あまりの
変わりように驚かされたが、石尾根縦走路が合流してきてことから、本来のルートは水根山からこちらを通るべきだったことがわかり、今
たどった道の悪さに納得できた.
![鷹ノ巣山 [Photo] Takanosuyama @here](Takanosuyama/Hodo.jpg) |
| 植林帯を抜けるとミズナラを中心とした木々の天然林の中に入る. |