道東
納沙布岬
 納沙布(ノサップ)岬、東経145度49分、国内で最初に朝日の昇る場所である.北海道の東に突き出た根室半島の先端である.同じく東に突き出ている 知床半島の知床岬より東にあって、北海道の東端である.それとともに、国内でも国内の東端の地位を得ている.日本の真の東端は東経153度58秒の 南鳥島にあるわけであるが、海上保安庁などの施設で働かない限りこの島へは行くことはできない.将来情勢が変わったところで、1.1平方キロしかない 太平洋上の孤島だけに、観光化され、交通手段が確保されることはないだろう.
 もうひとつの東端候補は、この岬の150km沖にある択捉島にあるラッキベツ岳の先でまだ300km以上も東にある.こちらも領土問題があって容易に行 くことのできない場所だし、行けるようになったとして断崖絶壁で陸を通って近づくのは難しそうだ.領土問題が解決した暁には、知床岬のように船で見物す るようになるのかもしれない.そして今現在だれもが到達可能な日本東端はこの納沙布岬となる.

納沙布岬 岬の先端と歯舞諸島:水平線が盛り上がったように見えているところが島.
 根室駅前のバスターミナルから納沙布岬行きのバスに乗る.昨晩おりたときは気付かなかったのであるが、駅は北西に出口があったようである. 右手に改札口があったから、西からきた私は南に出たものと思い込んでいた.根室線は東根室駅のあたりから戻るようにして根室市街に入っている.港もあ るオホーツク海側が市街地だ.納沙布線のバスは一端、根室港側に降りていき、道道根室半島線に入り、太平洋側を進んだ.ほぼ平らな海沿いの道、沖には、まっ平らな 島が見えている.民家のあるところにバス停.40分ほどで岬に着く.観光物産センターの前で降り、岬に向かって歩きはじめる.
 100メートルほどで、商店の並ぶ一角、前に納沙布岬の表示.観光客はここで、写真を撮って帰るのであろう.左手が北方館、望郷の家.北方領土に関する展示があり、 二階は展望所になっている.岬の先端は左に見えている白いコンクリート製の灯台が建っているところである.東端を求めてきたからには、とことん先端までいくのが私の流儀. 納沙布灯台の前につけられた霧笛の装置のもとに立つ.線が引かれているわけではないが、前の海面は、正面から左はオホーツク海、右は太平洋ということになる.押し寄せ る波は漂着した船の残骸に当たり砕けていた.
 領土問題を抱えた不確かな国境線も前にみえているこの海面に引かれている.四方を海に囲まれた日本では、歩いて国境線を踏むことはできないし、その存在を 見ることすらない.しかしここの海には線があるのである.納沙布岬は国境というものの持つ、どうしようもない緊張感が感じられる数少ない場所だ.
 沖の海面上には、水平線に重なってしまいそうな、薄くまっ平らな陸地が並んでいて、これらが、領土問題で出てくる、歯舞諸島の島々なのだ.正面は、水晶島のも のらしい.地図では小さな点に過ぎないが、近いだけに大きな島影になっている.右手に、2つある小さいものは、勇留島、秋勇留島.手前の海面にみえている灯台は、 貝殻島という小さな島に昭和12年設置されたもので、ここからの距離わずか3.7km先であるが、もうそこは北方領土の一部だ.
 北方館、望郷の家に戻り二階にあがった.やや視界がよくなって、かすみの上に北東に山々の稜線を形づくる大きな影が浮かんできた.最初に見えたとき、その山々 の並ぶ姿をみて知床半島のものかと思ったのであるが、考えてみれば国後島の方が手前にあって、知床半島は後ろに隠れているはずだ.美しい1822mの爺爺(ちゃちゃ) 岳や、火山の羅臼岳など、豊かな自然に囲まれたこの島に足を踏み入れることのできる日のくることを思い、帰路に着く.
独立行政法人 北方領土問題対策協会独立行政法人 北方領土問題対策協会

灯台 納沙布
納沙布岬灯台納沙布岬
平和の塔平和の塔
根室駅 納沙布岬にバスで行くには、根室交通納沙布線を使う.JR根室駅すぐ東側にあるバスターミナルより運行されている.根室交通根室交通
根室駅
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